著作権の非親告罪化とインターネット上のコミュニケーション

TPP参加で著作権法違反が非親告罪化し、結果として二次創作ができなくなるという記事が出ていました。
僕もコミックやアニメは結構好きですが、同人作品はほとんど読まないし見ないですからあまり関係ないわー、とか思っていたら、趣味ではなく本業の監視事業のほうで影響がありました。

著作権判断は難しい!

お客様からはよく、
「ジャニーズの写真は非表示にしてよ!」
とか、
「有名人が写っている写真は非表示にしてよ」
とか、
「動画が転載だったら非表示にしてよ」
等の要望を承ります。でも、これって非常に難しいのです。

監視事業における著作権の判断

なぜなら、

・この写真はジャニーズ事務所所属なのか?
・写真に写っているこの人は有名人なのか?
・この動画は著作権者が載せたものなのか、他人が勝手にやっているのか、許可は得ているのか?

を、コンテンツだけを見て判断することが非常に難しいのです。

例えば、昨日ジャニーズ事務所と契約した美男子、はおそらくどんなマニアでも見分けられないでしょうし、僕なんかは関ジャニ∞のメンバーを出されても、おそらく気づかずに一般人としてしまうでしょう。

例えば、仮にテレビに写ったら有名人、だとしても、僕はあまりテレビを見ませんのでそもそもテレビに写っている人かどうかすら、わかりません。

例えば、自作のアニメなり、映画を撮ったとします。それが本人によるアップロードなのか(もちろん適法)、著作権者の許可を得た他人によるものなのか(適法)、著作権者の許可を得ていない他人によるものなのか(違法)なんて、見てもわかりません。

従って、現在、著作権に関しては著作権者の申告があって初めて検討するということにしています。

本当に非親告罪化したらどうなるか?

監視を依頼する側は、より「著作権法違反可能性があるものについては先回りしてどんどん非表示にする」という方向性に振れていくと思います。もし違反コンテンツが上げられていたら、その時点で罪が発生しうることになるからです。

しかし、こういうことになったらインターネットのコミュニケーションはどうなるでしょうか。歌詞やセリフを使った二次創作的な、大きな引用はできなくなり、従って味気ないものになってしまいます。グレーゾーンこそがコミュニケーションを円滑にするわけですから。

これだけならまだいいのですが、少しでも違法要素があればどんどん非表示にしていくと、確実にコミュニケーションは萎縮します。監視の基準は「違法である」を確実に含むように設定されます。従って、違法でない部分にも若干染み出す形で設定されます。これが生き過ぎてしまうと、違法要素が少しでも認められようものなら消されてしまうという場所で、誰が積極的に書き込みをし、情報を発信していくでしょうか。

できるだけオープンなコミュニケーションをするためにルールは必要ですが、行き過ぎたルールは必要ないと思います。